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2015年11月23日 (月)

対印原子力協力は、核拡散ではなく核軍拡への協力

対印原子力協力は、核拡散ではなく核軍拡への協力
――インドは南アジアを超えて世界の核軍拡を助長する

 貪欲に武器輸出と原発輸出を推進するアベノミクスが、日印原子力協定に突き進もうとしている。インド国内で使用される核技術や核物質において、軍用と民生用の区別をすることが無意味であることは誰の目にも明らかだ。外から供与された機器や物質が仮に民生にのみ使われたとしても、それによって余裕ができる国内資源を、インドはそれだけ多く核兵器に回すことができる。

 インドの核兵器増強は新しい段階に入っている。南アジアのインド・パキスタン核兵器競争を牽引しているのみならず、中国との関係を通して世界の核兵器競争を後押しする段階に来ている。

 インド核戦力に関して注視すべきことの一つは、イギリスもフランスも戦略核兵器の3本柱を放棄している中で、米国、ロシア、中国についで戦略核の3本柱を保有する4つ目の国になろうとしていることであろう。すでに地上発射弾道ミサイルと航空機搭載の核戦力を配備しているインドは、最初の戦略原潜アリハント(サンスクリットで「敵を打ち負かす者」)の初期航海を2014年に終えた。今月にも最初の潜水ミサイル発射テストを行い、来年2月にも就役する予定であると報道されている。これは中国を凌ぐペースである。中国がNPT加盟国として核軍縮義務を負い、国際的な圧力の中に置かれているのに対して、NPT非加盟のインドは誰からも制約されずに核軍拡を続けている。インド核戦力の戦略的意図は、これまで主要には中国との関係に焦点を当ててきた。しかし、今後は中国をより強く意識した、新しい競争を強いられることになる。このことが世界の核軍縮の障害となることは避けられない。
 因みに、インドの核弾頭数は現在110~120発と推定されているが、毎年20発程度増強している。中国は現在260発程度と推定されるが、増加速度は10発程度以下と予想される。インドの弾頭数が中国に近づくとき、これまでの中国の抑制的姿勢が変化する可能性があるだろう。

 パキスタンはインドと違って、自国の核戦力を一義的に対インドの戦略関係において組み立ててきた。核兵器使用がもたらす地球規模の気候変動の問題が、南アジアにおけるインド・パキスタン間の核兵器の撃ち合いを想定して議論されてきたことに象徴されるように、この地域の核バランスのリスクは極めて大きい。とりわけ、カシミア紛争に起因するパキスタンの過激派グループに対して、インドが攻撃的な「コールド・スタート・ドクトリン」の適用を示唆する最近の情勢において、リスクはいっそう高まっている。インドの攻撃的ドクトリンに対して、通常兵器における劣勢を意識するパキスタンのチョードリー外相は、10月20日、核兵器の先行使用で対抗すると表明した。ここでは、2キロトン以下の戦術核兵器ナスルの使用が想定されているとされる。そして、私たちにも馴染みの深いペルベス・フードボイ博士によれば、この規模の戦術核使用は全面的な核戦争には至らないという読みがパキスタン当局にはあるという。しかし、彼も言うとおりこの読インドの核兵器増強は新しい段階に入っている。南アジアのインド・パキスタン核兵器競争を牽引しているのみならず、中国との関係を通して世界の核兵器競争を後押しする段階に来ている。みは極めて危険である。インドとの原子力協力によってインドの核軍拡を容認する行為は、このような南アジアにおける印パ核軍拡競争を煽ることにつながる。

 その上、インドの核兵器増強のペースを決定する因子は、運搬手段の開発ペースと核分裂物質の生産ペースの両方であるという現状に注目すべきである。中国以外のNPT上の核兵器国では、兵器用核分裂性物質(濃縮ウランとプルトニウム)を過剰に保有しているが、インド、パキスタン、中国は、世界的な核軍縮の約束が確立されない限り、兵器用核分裂物質の生産の継続が必要だという立場である。したがって、日本の原子力協力は、インドの兵器用核分裂性物質の生産を助け、核兵器増強に協力することを意味する。

  日本政府は、最近の国連総会で提案した新核軍縮「日本決議」において、インドを含むNPT非加盟国に対して、非核兵器国としての早期の無条件NPT加盟を要求したのみならず、NPTに加盟するまでの期間においても「NPTの諸条項を守り、NPTを支援する実際的措置をとる」よう要求した。上記のような状況下における日印原子力協力は、日本自身が自らの決議に反する行為に走ることを意味する。

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