2012年賀
謹賀新年。
いつもとは違う気持ちで2012年を迎えました。
私にとって福島原発の事故は、目の前の惨状や社会をおおう不安、そして怒り以上のものとしてあります。惨状や怒りから目をそらしませんが、もっと大きな問いから私は逃げられません。
高度科学技術社会への批判から私の社会運動は出発しました。私の原発批判は放射能禍やエコロジー論ではなく、エリート管理社会批判が基本でした。エリートが創り出す高度化した科学技術の産物は、形成の過程においても以後においても、国家と大企業の保護のもとに社会的な存在となります。大部分の人たちが、その〈恩恵〉に浴すればするほど、技術それ自身のなかにも、社会制度のなかにも、大きなブラックボックスが生まれます。そして、人々の中には専門家依存の惰性が定着してゆきます。民主主義が、どのようにしてこの現代社会の宿痾を克服するのか。思想的営為が求められています。
2012年元旦 梅林宏道
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